2007年8月22日水曜日

カメレオン

加瀬あつしのカメレオン(全47巻)

僕の好きな漫画家、加瀬先生の代表作。1990年代の週刊少年マガジン黄金期を支えた名作です。ジャンルはヤンキー漫画かギャグ漫画か微妙だけど、ヤンキー自体がギャグみたいなものだからギャグ漫画でいいか。主人公のヤザワがハッタリと運の良さだけでカリスマヤンキーへ成り上がっていくサクセスストーリーです。

物語後期の受験編はいまひとつでしたが、初期から中期にかけての展開はおもしろすぎます。キレたヤンキーに出会う→ヤンキーがヤザワに興味を持つ→ヤザワ逃げようとする→追い詰められて保身のためにハッタリをかます→そこで考えられないウルトララッキーが!→ヤンキーがヤザワに心服して仲間に加わるという感じですかね。毎回ワンパターンなんだけど笑えます。

好きなキャラはやっぱりヤザワ。仲間を仲間とも思わない鬼畜ぶりには敬服します。あとは、「悪魔の中坊」と恐れられる冷血ヤンキー由来カオルも好きだな。あのクールさがたまりません。ほかには、相沢や椎名もけっこういい仕事してます。物語初期こそ恐怖のヤンキーだったものの、途中からすっかりギャグキャラになった二人の活躍なくして本作は成り立たないでしょう。相沢の性病ネタや椎名のスキンヘッド亀頭ネタは笑ったわぁ。

何より、加瀬先生お得意の言葉遊びが秀逸です。「死んだゾ オメー」「明日の朝刊載ったゾテメー!」「踊れオラァ!」「気持ちよくラリってんじゃねー!」ほか多数。こんなハイセンスなヤンキーいないとは思うけど。ヤザワの「ど不幸すぎる!」「カレの意志は固い!」「さ、酸素が足りねー!!」もいい味出してますね。本当に作者のせりふ回しは天才的だと思う。擬音も独特で、「げっひ~ん」「しぴぴぴぴ」「くさぷ~ん」など、それ単体でも笑える言い回しが満載です。日本語を極めるとこの境地に達するのだろうか。加瀬風に言うと「オモシレーぞオメー」ですかね。