2009年6月3日水曜日

かゆいところはないですか?

美容院でシャンプーしてもらうとき、「かゆいところはないですか?」と聞かれますよね。定番の質問ではありますが、この問いかけに対し、いまだかつて「ないです」以外の返答をしたことがありません。

それはなぜかを考えてみるに、かゆいところ自体がないわけではなく、かゆいところはあるんだけど、それをどのように伝達すべきかわからないので……といった理由でしょうか。あれって、どうやって伝えればいいんですかね。「かゆいところはある、でも、それをどう伝えればいいのかわからない、このもどかしい気持ちこそがかゆいところなんです」……と切り返して失笑を買ってみてもいいかもしれませんが。

普通に考えれば、かゆい部分を指差すのがよいわけですが、指で差せるなら自分でかけるじゃん、という、余りにも単純ながら奥深い矛盾をはらんでしまいます。「ここです」と自分が指で示した箇所を店員さんにかいてもらう……って、かなり間抜けに思えるのは僕だけでしょうか。

「あ、そこじゃなくて、もうちょっと上……あっ、もうちょい、ああっ!そこそこ!あぁ~」って感じに、文字にすると何だかヒワイではありますが、こういった風にお伝えするのがベストなんでしょうか。というか、これ以外ないですねたぶん。上下左右を口にして店員さんに伝えるのが、「かゆいところはないですか?」に対する適切な返答である……こう結論付けていいと思われます。ただ、僕のように内気な人間は、こんなにも饒舌に返答できないので、もしかゆいところがあったとしても、不本意ながら無いことにしてしまうのである……ってことで。

ところで、この「かゆいところはないですか?」に、頭以外の箇所を答える人がいる……というのは、都市伝説なんでしょうか。「かゆいところはないですか?」「うーん、背中(笑)」みたいな感じですかね。僕は本当にこういった類いの人が嫌いなんですけど、実際にこんなことを言って悦に入る人が地球上に存在するのであれば、ぜひ一度お目にかかりたいものです。

どうでもいいけど、「かゆいところはないですか?」って、見方によれば変な問いかけかもしれません。「かゆいところはないですか?」は、「はい、いいえ」で答えるべき質問であるのだと。「かゆいところはないですか?」「いいえ」「……」「……」「……え?」「だから、あります」「それはどこですか?」「はい、それはここです」といった展開になってもおかしくないわけです。

そう考えると、最初から「かゆいところはどこですか?」と聞けば解決する問題ではありますが、その場合、かゆいところがあるという前提に立ってしまい、人によっては不快感を抱くかもしれません。「なにぃ~? 俺がいつかゆいって言ったんだよ」みたいな。以上を踏まえると、「かゆいところがもしあるとすれば、それはどこですか?」と聞くのがベストですね。ですよね。ですかね。

あるいは、「かゆいところはないですよね?」と聞いてみるのはどうなんでしょうか。「~ないですか?」よりも、「~ですよね?」と問いかける方が、相手はびびって「は、はい」と答える確率が高いのではないかと……。「かゆいところはないですよね?」「は、はい」「お湯は熱くないですよね?」「は、はい」「首はきつくないですよね?」「は、はい」といった感じでしょうか。もっとも、それなら最初から聞く意味ねーじゃんってところではありますが……

それはそうと、いま思い出した。僕が通ってる美容院の店長も、このブログ見てくれてるんだった……。何だか悪いなぁって気がしてきましたが、ネタはネタとして流して下さるものだとは思います。次に行ったとき「かゆいところはないですよね?」とか言われたら笑いますけども。

そんな感じで、かゆいところに手が届かない人がお届けしました。

男性は4千円、女性は3千円でお願いします

「男性4千円 女性3千円」のように、なぜか男性が割高になっている料金設定って、飲み会やパーティーにありがちですが、あれの意味がわかりません。理解不能すぎます。

よく聞くのが、「男性は女性に比べて飲み食いする量が多いから」という理屈です。でもこれ、飲み食いする量なんて人それぞれ違うわけだから、性別でひとくくりにはできないと思うんです。よく食べる女性も、あまり食べない男性もいるわけで。こう素朴な疑問を口にすると、「例外はあるけれども、普通は、男性は女性より多く食べるものである」という一般論を持ち出されるんでしょうか。でも、どうしても腑に落ちないんだよなぁ。

その理屈が通るのであればですよ。例えば、男女がホテルへ行ったとしましょう。一般的に、あれは男性より女性の快感の方が上だと言われてますよね。それを盾にとって、「あなたの方が気持ちいいんだから、多めに払ってよね」と言い出す男性みたいなものじゃないですか? これ、多く食べるから多めに払う、という理屈と同じ気がするんですが。この場合も、気持ちよさは人それぞれ違うわけだけど、前述のケースと同じくひとくくりにして一般論として論じてみました。あっ、念のため断っておきますと、この例えの男性は僕ではないです(たぶん)。

そんな冗談はさておき、料金の男女差というのは、個人同士の価値観に基づくべきものであって、男女差を是認する価格設定を堂々と打ち出すのはどうなのよ、と僕は主張したいのです。個人間であれば、別に男女差はあっていいと思います。だって二人の問題なんだから。前述のホテル代も然りだし、カップル同士であれば、男性がおごるとか常に割り勘するとか、逆に女性がおごるとか状況に応じてどちらかが払うとか、支払いのパターンはいろいろあるだろうし、そのへんの価値観が似ている者同士だからカップルになるとも言えます。そういった、個人の感覚に委ねるべきものを、社会的に(このケースだと主催側が)堂々と表に出してしまうこと、また、それに対して疑問を呈するのがはばかられる風潮に違和感を覚えるわけです。

これが通るのであれば、例えば「消費税上げます。男性は20%、女性は10%です」とか、「募金してます。男性は千円から、女性は5百円からお願いします」なんて事態にもなりかねません。これは極端すぎる話としても、「パーティーします。男性は4千円、女性は3千円でお願いします」と大差ないと思うのですが。うーん、僕は何か変なこと言ってるのかな……

はっきり言うと、これは差別ではないでしょうか。男女で料金差をつけるのは、「レディースデー」にも通じるところがあって、単なる男性差別だと思うのですが。このように「差別だ!」と声を上げると、ものすごい勢いで「器の小さい男」とレッテルを貼られる世の中ではありますけども、勇気を出して書いてみました。

ここまで書いてみると、「そんなに文句があるなら参加しなきゃいいじゃん」と自分に突っ込みを入れざるを得ません。そう、まさにその通りで、文句があるなら行かなきゃいいんです。でも、不満を抱きつつも参加してしまうのは、それ以上の価値を感じてるからでしょうか。パーティーの場合だと、やっぱり出会いがあるからですかね。不満という感情や理屈なんて、人間の欲望の前にはちっぽけな存在なのである。と、自分の行動を無理やり正当化してみます。

ていうか、例えば男女を同数揃えるパーティーの場合、単に、集まりが悪いほうを安くしてるだけじゃね? なんて考えが頭をもたげ始めたのですが……。も、もしかして、ここまで書いてきて、こんな単純な理由が結論になったりするのか。