美容院でシャンプーしてもらうとき、「かゆいところはないですか?」と聞かれますよね。定番の質問ではありますが、この問いかけに対し、いまだかつて「ないです」以外の返答をしたことがありません。
それはなぜかを考えてみるに、かゆいところ自体がないわけではなく、かゆいところはあるんだけど、それをどのように伝達すべきかわからないので……といった理由でしょうか。あれって、どうやって伝えればいいんですかね。「かゆいところはある、でも、それをどう伝えればいいのかわからない、このもどかしい気持ちこそがかゆいところなんです」……と切り返して失笑を買ってみてもいいかもしれませんが。
普通に考えれば、かゆい部分を指差すのがよいわけですが、指で差せるなら自分でかけるじゃん、という、余りにも単純ながら奥深い矛盾をはらんでしまいます。「ここです」と自分が指で示した箇所を店員さんにかいてもらう……って、かなり間抜けに思えるのは僕だけでしょうか。
「あ、そこじゃなくて、もうちょっと上……あっ、もうちょい、ああっ!そこそこ!あぁ~」って感じに、文字にすると何だかヒワイではありますが、こういった風にお伝えするのがベストなんでしょうか。というか、これ以外ないですねたぶん。上下左右を口にして店員さんに伝えるのが、「かゆいところはないですか?」に対する適切な返答である……こう結論付けていいと思われます。ただ、僕のように内気な人間は、こんなにも饒舌に返答できないので、もしかゆいところがあったとしても、不本意ながら無いことにしてしまうのである……ってことで。
ところで、この「かゆいところはないですか?」に、頭以外の箇所を答える人がいる……というのは、都市伝説なんでしょうか。「かゆいところはないですか?」「うーん、背中(笑)」みたいな感じですかね。僕は本当にこういった類いの人が嫌いなんですけど、実際にこんなことを言って悦に入る人が地球上に存在するのであれば、ぜひ一度お目にかかりたいものです。
どうでもいいけど、「かゆいところはないですか?」って、見方によれば変な問いかけかもしれません。「かゆいところはないですか?」は、「はい、いいえ」で答えるべき質問であるのだと。「かゆいところはないですか?」「いいえ」「……」「……」「……え?」「だから、あります」「それはどこですか?」「はい、それはここです」といった展開になってもおかしくないわけです。
そう考えると、最初から「かゆいところはどこですか?」と聞けば解決する問題ではありますが、その場合、かゆいところがあるという前提に立ってしまい、人によっては不快感を抱くかもしれません。「なにぃ~? 俺がいつかゆいって言ったんだよ」みたいな。以上を踏まえると、「かゆいところがもしあるとすれば、それはどこですか?」と聞くのがベストですね。ですよね。ですかね。
あるいは、「かゆいところはないですよね?」と聞いてみるのはどうなんでしょうか。「~ないですか?」よりも、「~ですよね?」と問いかける方が、相手はびびって「は、はい」と答える確率が高いのではないかと……。「かゆいところはないですよね?」「は、はい」「お湯は熱くないですよね?」「は、はい」「首はきつくないですよね?」「は、はい」といった感じでしょうか。もっとも、それなら最初から聞く意味ねーじゃんってところではありますが……
それはそうと、いま思い出した。僕が通ってる美容院の店長も、このブログ見てくれてるんだった……。何だか悪いなぁって気がしてきましたが、ネタはネタとして流して下さるものだとは思います。次に行ったとき「かゆいところはないですよね?」とか言われたら笑いますけども。
そんな感じで、かゆいところに手が届かない人がお届けしました。